令和5年度 副代表挨拶

探究的な学習が拓く造形教育

全国美術部門副代表  新井 浩 (福島大学)

 
日本教育大学協会全国美術部門会員の皆様におかれては、日々造形教育にご尽力いただいているところと存じます。感謝申し上げるとともに、これからのさらなる連携と課題解決に向けたご協力をお願い申し上げます。
さて3年に及ぶ新型コロナ感染症禍も感染症法で5類に移行するなど落ち着き、令和5年度の全国美術部門香川大会は4年ぶりに対面で実施することとなりました。過去3年の宇都宮・山形・宮崎各大会もオンライン開催の難しさやご苦労があったものと存じますが、久しぶりの対面形式の開催である香川大会もかつての対面開催とは異なるご対応など難しさもあろうかと存じます。これまでのご尽力に感謝申し上げるとともに、会員の皆様には奮ってご参加いただけますようお願いいたします。
香川大会部門協議会では準備の状況によりますが「美術教育と探究的な学習」を中心に検討を進めています。内閣府教育・人材育成ワーキンググループでは「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」の中で、「令和の日本型学校教育」で示された「個別最適な学び」「協働的な学び」の実現やその他今日的教育課題を解決する方策として「探究的な学習」とそのための「エコシステム」の充実を示しています。
探究的な学習をいかに教科に位置付けるか、また「総合的な学習の時間」や高等学校に2022年から実施されている「総合的な探究の時間」と教科の関係について、各教科で様々に研究がされているところです。
美術教育についても「個別最適な学び」「協働的な学び」との関連、児童・生徒の多様化、コンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースへの教育課程転換、ICTの活用、探究的学習・STEAM教育を支えるエコシステムなどとの関連の中で探究的な学習に対する多様な研究を進め、造形教育の可能性を拓いていくことが望まれます。
香川大会では四国地区における連携教職課程の先駆的取り組みも注目されるところです。コロナ感染症への対策として懇親会はありませんが、懇親会に代わる交流の時間が模索されていますので、より良い情報交換が出来、各地区での検討に活かしていただきたく存じます。
最後になりますが、今年度も総務局員改選では困難な状況が続きました。多くの大学が後任補充に慎重な姿勢となっている中で、大学業務自体が多様化しさらに過重になっていることの現れと考えています。全国美術部門として重要な取り組みを果たし、造形教育の意義を発信し続けるためにも、総務局制度について改めて見直しを図る時期に来ているのかもしれません。部門会員皆様の一層のご理解をお願い申し上げ挨拶といたします。