『学会理事長就任のご挨拶』
平成26年度大学美術教育理事長 増田 金吾(東京学芸大学)
この度、大学美術教育学会理事長への就任要請をいただき、微力ではありますがお引き受けすることにいたしました。学会会則第2条に「本会は会員相互の協力により、美術教育及び美術に関する理論及び実践的研究を行う。」とその目的が掲げられていますが、これらが着実に行われるような状況を作るよう努力して参ります。その際、本学会設立の元となっている日本教育大学協会全国美術部門とも適度な距離を取りつつも、協力しこれを進めて行きたいと考えます。
学会活動として大切なことは多々ありますが、先ずは研究の充実ということがあろうかと思います。その意味では、学会誌委員会の活動に負うところは大きく、とりわけ公平な審査と速やかな学会誌の発行が必要です。また、前述したように本学会では、美術教育は勿論、美術に関することも、また理論研究や実践的研究も口頭発表や学会誌への投稿が可能です。美術教育に限らず、教科専門の先生にも大いに発表や投稿をして頂き、また、学校教育現場の先生には実践的研究の成果を発表・投稿して頂ければと考えます。もちろん、そうした枠にとらわれない在り方も大いに結構だと思います。
また、グローバル化の重要性が叫ばれる今日、国際交流委員会の果たす役割は大きいものがあります。着実に足下(日本)を見ることと、世界を見つめる視点は共に重要であると考えます。委員諸氏を中心に会員の積極的な関わりを望みます。
一方、今日大学や美術教育のおかれた状況は、厳しいものがあります。美術教育を語る以前の問題として、「日本の先生は世界一忙しい」(OECDの調査)と言われますが、それは調査が実施された中学校に限らないと推察できます。大学においても似たような状況があり、文部科学省からエビデンスが求められ、先生達はその数値目標達成のため大学から檄を飛ばされています。そうした多忙感漂う中で美術教育の意義や存在価値が問われています。
こうしたことに、本学会としても立ち向かって行かなければなりませんが、一学会の力には自ずから限界があります。そこで、以前より組織されていた「造形芸術教育協議会」(美術科教育学会、日本美術教育学会、大学美術教育学会よりなる連携組織)などを通じ、連携して対応することが必要かと思います。さらに、平成26年度第1回運営委員会(6月22日開催)にて承認された日本音楽教育学会等との次期教育課程へ向けての連携の話が進みつつあります。こうした「芸術教育」としての対応も重要と考えます。
以上の様な活動には、組織を円滑に動かす「事務局(総務局)」が重要な役割を果たします。この根幹部分をより活性化するために、大嶋彰前理事長は事務の一部を会社に委託するアウトソーシングという形を考えました。今後はアウトソーシング体制を軌道に乗せ、さらに円滑な学会運営を図って行かねばならないと思っております。
会員の皆様のご支援とご協力をお願いしつつ、就任のご挨拶といたします。