平成23年度 理事長退任のご挨拶

『大学美術教育学会のさらなる発展を祈って』

 

平成23年度大学美術教育理事長  藤江 充(愛知教育大学)

 

昨年の 9 月に宮城教育大学で全国大会が開かれました。本学会にとって第 50 回目となる記念すべき大会でした。それも、あの東日本大震災から半年後の仙台の地での大会でした。被災のあと、宮城教育大学に開催地の変更も可能だとお伝えしましたが、開催への強い決意を示されて大会は無事に開催され成功裏に終了しました。あらためて東北地区の皆様に感謝しつつ、一日でも早い復興をお祈りします

さて、第 50 回という節目の大会を終えた本学会ですが、これからの課題もいくつか見えてきました。一つは、美術教育のさらなる振興を図るための国内外の連携です。既に 2003 年にお隣の「韓国美術教育学会」と学術協定を結んでいます。その主旨を実効あるものとするためには具体的な方策が必要です。国際交流委員会を中心に互いの学会誌への論文投稿等の具体案を検討していただいています。

また、国内的には、2010 年に、本学会と美術科教育学会や日本美術教育学会との 3 学会で、「造形芸術教育協議会」という連携組織をつくりました。相互に情報交換や研究会案内などを進めていますが、さらに、力を結集して、教育における美術の大切さを訴えていく必要があります。この協議会をきっかけにして、日本全国の美術教育関連団体がまとまっていければと強く願うところです。

また、2010 年4月に本学会は「日本学術会議協力学術研究団体」として日本学術会議から認定されました。

大会の口頭発表や学会誌掲載論文の学術的な評価が高くなればなるほど、その責任は重くなります。学術的な水準をより一層高めるための審査や学会誌の在り方や、社会に何を発信していくかが問われてきます。発信のための学会ホームページもリニューアルを目指して試行中です。

まだ、財政基盤の確立など、いくつか課題はありますが、いずれも会員の皆様のご理解と協力なしには解決できないものばかりです。この 2年間の任期で、それらの課題の道筋をつけることはできたと思います。次の新しい理事長と会員の皆様が協力して解決していただくようにお願いする次第です。

以上、大学美術教育学会のさらなる発展を祈って、離任の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 

(大学美術教育学会 「会報No.26」 平成24年3月発行)