平成21年度 委員長(代表)退任の挨拶

『新たな部門活動の幕開け』

 

平成21年度全国美術部門委員長  橋本光明(信州大学)

 

昨年の9月26日に開催された愛知大会における部門協議会でのシンポジウムと本年2月26日に開催されたフォーラム第1部のパネルディスカッションは、そこに係われた教科専門や教科教育の先生方の意欲的な取り組みによりまして教科内容学の多様で可能性に満ちた展開が期待でき、部門活動の新たな幕開けとなりました。

部門活動の復活を謳った私にとっては、短期間でのこうした活動の実現を夢に等しいものと捉えていましたから、携われた委員や役員の皆様への感謝と喜びで一杯です。中でも私が部門委員長(22年度より部門代表)に就任した18年度から20年度までの3年間を支えてくださいました松浦昇副委員長は、当初から教科内容学の重要性を強調されてこられました。残念ながら18,9年度の旧体制下では、部門・学会の会員管理と会費収支等の事務処理などで大わらわであり部門活動の充実を視野に入れながらも取り付く島もない状態でした。

しかし、20年度からの新体制により年度末に教科内容学の検討WGを松浦先生に託すことができました。21年度からは、福本謹一新副委員長も参画し、6月の理事会においてWGは検討委員会に昇格し、3つ目の委員会として部門の重要な活動を担うことになりました。

この間、部門活動の活性化を望んでいました18年度の笠置三郎副委員長のご体調を配慮して19年度は、大宮康男副委員長が職務を継承されました。大宮先生には新体制においても副委員長として部門の再生と松浦先生と同様に、次期委員長の選考委員長も務めていただくとともに部門活動に明るさと元気を与えてくれました。

この4年間を振り返ると事務局長時代は、岡田匡史氏、藤田英樹氏の信州大、総務局長時代になると、増田金吾氏、山田一美氏の東京学芸大の2大学4人の方々にお世話になりました。改革を旗印に掲げた私の無理難題を一手に背負いながらもその旗竿を握りしめながら次へ引き渡されたお陰で今日があります。同時に、その足場を固めていただいた新関伸也部門総務部長はじめ総務局委員・部員、事務部、そして、各委員会の委員とたくさんの貴重なご意見やご助言をいただきました350名を越す部門会員の皆様に心からお礼を申し上げます。

部門3委員会は、大学を取り巻く厳しい環境において、もはや手をこまねいているのではなく、積極的に活動を行い関係当局や一般に向かって発信していかねばなりません。教科内容学検討委員会は、教員養成の使命に立ち返った独自性のある教育課程の改善を目途に教科専門の授業内容の見直しと構築、教科教育との連携・一体化、学校教育の視点による内容改善等、課題は山積しています。開設したブログや公開協議会等で多くの会員を巻き込みながら改善への共通項を見出せるようさらなる活躍を期待しています。

教大協も22年度から教科内容学に関するプロジェクトを発足します。この動きを敏感に感じ取り本委員会の成果を報告書や書籍、大学教科書等の刊行で可視化し、私達の研究活動をアピールしたいものです。

部門として昨年11月に全造連の傘下として中学校美術教諭全校配置の要望書を文科省等に提出しましたが、関連する全造連大学委員会(部会改め)は、私学組織の全美協と一層の連携を深めて、学校教育との関係、教職実践演習や教員免許更新制、6or5年制養成、教職大学院等について資質、ニーズ、経費等の面から意見交換し合い、教科内容学検委との協働も視野に入れた活動の展開が必要と思われます。また、附属学校園の在り方や活用方策等、改善を迫られている時期の附属学校委員会の活動も非常に重要になってきました。

22年度は部門協議会・総会を武蔵野美術大学で開催する歴史的な時を迎えます。柔軟性と開放性に挑む発展性のある部門活動を願い、退任の挨拶とします。

 

(日本教育大学協会 「全国美術部門No.38」 平成22年3月発行)