2019年

7月

02日

令和元年度 代表挨拶

部門の活性化のために

全国美術部門代表 佐藤 哲夫 (新潟大学)

 平成30年度、令和元年度の全国美術部門代表を務めさせて頂いている佐藤です。30年続いた平成が終わり令和の時代となった今、皆様は、国立大学法人の美術科教員として、どのようなことを感じておられるでしょうか。私は、抑鬱感と苛立ち、無力感がない交ぜになったモヤモヤとした気分を、常時どこかで感じているような気がしています。それというのも、あまりに多くの問題があり、それらが複雑に絡まっていて見通しが効かないからです。グローバル化、少子化などの社会が直面している環境変化の状況、文科省や大学執行部からの改革の方向性の提示、またそれにぴったり沿う形での対応の要求があります。学校教育における美術教育についても、教育委員会や実務の重視の姿勢からは、これまでの大学教員は無用の長物であるとの認識が透けて見えるかのようであり、大学生の嗜好や考え方が変化する中で対応に苦慮する自分は、確かに無用の長物かもしれないという自虐的冷笑に囚われます。


 しかし、令和と元号が代わった今、これらの課題複合体に押し潰されてしまうのではなく、少しでも押し返して解決の明るい兆しを見出したいものです。そのためにまず必要な事は、否定的な気分は脇に置いておいて、今起こっている事態を冷静明瞭に把握することでしょう。そのためのガイドとなるものが私たちのすぐ手近にもあります。本会報No.52の当時部門副代表だった新関先生の「国立の美術科教員を巡る現況と課題」と題する一文です。過去会報は、部門・学会のホームページからダウンロード出来ますので是非ご覧ください。そこでは主に、平成29年8月の「教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて―国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議報告書―」の読み解きから国の施策の方向性が占われ、これまでの教員養成の既得権の主張に代わる、現実を見据えた新しい教員養成のビジョンをわれわれ自らが作り上げる必要性が述べられています。


 私たちの美術部門には、北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州の九つの地区会があります。そして各地区より2名の全国委員を選出してもらい、地区会で話し合われた内容を、毎年の全国大会前日の美術部門協議役員会で報告して貰っています。しかし、十分な時間の確保が難しいこともあり、多分に形式的な報告に留まり勝ちです。地区会での議論自体は活発であるということを願っておりますが、実態はどうなのでしょう。部門の活性化が地区会から始まる時、教大協の目的「会員相互の協力によって、大学・学部の質的向上と教育に関する学術の発達を図り、もってわが国教育の振興に寄与する」に、新しい次元で答える起点となるのではないでしょうか。