平成27年度 理事長退任のご挨拶

理事長退任のご挨拶

大学美術教育学会理事長  増田 金吾(東京学芸大学)

 理事長就任時、学会会報(2014.9 発行)に、学会会則に基づいて本学会の目的を掲げました。それは「本会は会員相互の協力により、美術教育及び美術に関する理論及び実践的研究を行う。」というものです。美術教育及び美術の両方に関わる学会は、他には類を見ません。今日、大学における教科専門分野は、教科教育分野に接近しており、その傾向は今後さらに強まると考えられます。
 ゼロ免課程廃止や教職大学院強化の姿勢を打ち出している文部科学行政の動向は、国立大学教員養成系大学・学部における教科専門分野に対し、今まで以上に手厳しくなると思われます。
 こうした中で、美術教育及び美術の両方に関わる我々は、今後さらに優れた研究成果を世に送り出して行かねばなりません。具体的に言えば、論文の口頭発表や学会誌の発行などです。そうした意味で、学会誌委員会の活動に負うところは大であります。学会大会における口頭発表数の変遷は、平成25・26・27 年度は、64・53・63 本であり、ほぼ安定した数であります。また、投稿論文数と採択本数の関係、並びにその変遷は、平成25 年度は58 対36・26 年度は82 対50・27 年度は68 対53 で、採択率は62%・61%・78%となっています。ここでは数のことしか示せませんが、内容(質)も重要です。
 学会誌の編集作業は、たいへんな労力を要し、かつ責任重大です。査読作業や査読の協力要請も大切な事柄です。同時に、査読に協力をしてくださる会員の力も欠かせません。
 地区全国理事の存在も大きな意味を持ちます。他学会には見られぬ特徴と言えましょう。これは、日本教育大学協会全国美術部門と分化されていなかった時代の流れを汲むものであります。学会を全国的に、要所要所で支えてくださっているこうした体制は心強いものがあります。
 また、グローバル化の必要性や重要性が叫ばれる今日、国際交流委員会の果たす役割には大きなものがあります。着実に足下(日本)を見ることと、世界を見つめる視点は、共に重要であります。こうした委員会において、委員の研究活動と同時に、学会組織としての対応がますます求められることとなりましょう。
 一方、私どもの学会に限らず美術教育の学会は、大学や美術教育界において行政面等で厳しい状況に置かれています。以前より組織されていた「造形芸術教育協議会」(美術科教育学会、日本美術教育学会、大学美術教育学会よりなる連携組織)を通じ連携を組んでの対応は重要だと考えます。平成27 年3月に静岡で「造形芸術教育協議会・シンポジウム」が造形芸術教育協議会の主催によって行われ、27 年6月には「美術教育連絡協議会」として、さらに他の美術教育団体と共に、文部科学大臣や中央教育審議会長等へ向けて、「美術教育の充実に向けての要望書」を提出しました。
 加えて、平成27 年11 月には、「芸術教育協同シンポジウム:教育現場の芸術力を語る」が日本音楽教育学会と造形芸術教育協議会の主催で東京において開かれました。
 以上の活動を行う上で、役員・各種委員会委員の方たちにお世話になりました。とりわけ、学会運営委員会の方たちには近くで支えて頂きました。
 会員の皆様のご支援とご協力により、任期を終えようとしております。ありがとうございました。